北枕は死人だけ


一般的に北枕で寝ることは縁起が悪いとされています。
私も北枕で寝るのは死んだ人だけと教えられて育ってきました。

一説によると、釈迦が沙羅双樹の下で入滅したときの姿勢が、
右脇を下にして臥し、頭を北に向け、顔は西を向けていたというものだったので
死者の成仏を願って、頭を(釈迦と同じ)北に向けるのだそうです。

ところが調べてみると、縄文時代でさえ、
埋葬される遺体の頭位は北が一番多く、ついで東となり、
西や南に向けるのはわずかとなっているようです・・・。

では、生きている人はどっちを向いて寝るのがいいのでしょうね?
(高校時代の記憶が確かならば、)兼好法師は『徒然草』で
「太陽の霊気を受けるように、東を向いて寝るのが良い」と書いていたような気がします。

ところで、マクラの語源を知っていますか?
マクラは “タマクラ” がつづまったものだそうです。
“タマクラ”は魂座または魂倉と書きます。魂の容器といった意味です。

古くは、睡眠中に魂は肉体から遊離してマクラの中に宿ると考えられていました。
そして、夢は、自分の魂が誰かのマクラにおじゃましている間に、
他人の魂が自分のマクラに入り込むことによって見るものだと信じられていたようです。

こんなお便りをいただきました!ありがとうございます!
日本固有の信仰に、家の北側には祖霊が鎮まるというのがあり、
祖先祭りをするのが、主婦の役目であったから、
婦人は北の方と呼ばれたのだとどこかで聞いた気がします。
ふむふむ、なるほど・・・。

だとすると、北枕は祖霊信仰に関係するのでしょうか?
⇒【北の台所は吉】“北の方”について


   
  日常生活編